北野保育園は「和・気・愛・愛」をもって、地域の子育ての支援を行います。

保育園ブログ

「世の中に絶えて桜のなかりせば春の心はのどけからまし」

 六歌仙の一人、在原業平が詠んだこの和歌ほど日本人の桜に対する思いが表れているものはありません。もし、この世に桜というものがなかったならば、春は穏やかな心もちでいられたのになあ、という古人の思いとは。

人は桜の開花を待ちわびる頃から、そわそわします。そして、開花。三分咲き、五分咲き、そして、満開!と思いきやすぐに風が花を散らせてしまう。こんなに気もそぞろにになるのならいっそのこと桜なんてないほうが・・・という逆説的な歌なのですが、まさに今年も咲いたと思ったら前線がやってきて雨は降るわ、突風が吹くわ。まあ、このはかなさというか、潔さというか、期間の短さが日本人の琴線に触れるのでしょう。

それでも、今年度の入園式にはまだ園庭の桜は十分に残って新入園児を祝福してました。慣れ保育も終わり、一日フルに保育園の生活が始まっています。たくさんの見知らぬ大人に人見知りして泣く子、最初は事情がわからずニコニコしていたのに「今までと違う環境だぞ」という現実を受け入れざるを得なくなって不安になっている子。

毎年の光景ですがこれは大事な成長の過程です。ここから人への信頼感や安心感がまた新たに育っていくのです。そんな子どもに「早く環境に慣れて!」などと焦ってはいけません。子どもは桜ではないので大人が焦ってもすぐに咲きません(変わりません)し、満開になっても散りません。じっくり、ゆっくり、まったりといきましょう。

                               園長 田中 裕

2014年04月16日   北野保育園

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