君も神ってるか
毎年恒例の「新語・流行語大賞」が昨日発表されました。大賞となったのは『神ってる』。
これはプロ野球で25年ぶりにリーグ優勝した広島カープの監督がインタビューで使った言葉だそうですが、大賞と聞いても今一つピンときません。昨年の「トリプルスリー」も同じく「?」という感じでした。野球は好きなほうですが、一般に浸透している言葉かというと、やはり「ん?」という感が否めません。まあ、この「新語・流行語大賞」自体が権威のあるものと言うよりは、テレビやネットニュース上をにぎわすネタですから、否定するものでもないのですが(笑)。
しかし、昔のこの大賞、ノミネート語を見ると、けっこう記憶に残っていたり、その年から出だして今も定着しているとかいうものもあるんです。
例えば、ブラック企業、ヘイトスピーチ、イクメン、政権交代、ネットカフェ難民、ゲリラ豪雨、ips細胞など。こういう言葉は当時の世相を反映した新語といえるでしょう。特に気象用語は地球の温暖化が騒がれるようになってから、それを裏付けているようで空恐ろしくなります。先日も11月に雪が降り、積雪は観測史上初めてだったそうですが、この「気象観測史上はじめての・・・」は、1990年の新語・流行語に入っています。つまり地球温暖化が顕著に我々に降りかかってきたのは1990年代から、というのがわかります。他にも古いところでは、
1985年 激辛
1989年 セクシャルハラスメント
1993年 規制緩和
1997年 ガーデニング
こう見ると、人口に膾炙していますよね。最近は新語も流行語も一緒にしているようですが、以前は分けていたようです。
ところで、今回の「神ってる」は若者がスマホで使う言葉を、中年世代の広島カープの監督が使ったことで言葉の世代の融合となったことが受賞理由だそうです。思い返すと、7、8年前に中学生が「おれのアイデアは神だね」と、やたらと神を使いだしたことがありました。人智を超えたものに対してでなく、けっこう思ったよりもすごいこと、びっくりすることに対して感動詞的な代名詞のように使うのです(笑)。ちょっと神様を安易に出しすぎではないんかい?と思うのですけど、外国人はすぐに「オー、マイ、ガ~(ゴット)」って言うしなあ(まあ、宗教的文化が違うけど)。それから若者は電子文字(SNS)が生活の必需品のためにとにかく、言葉を省略したがる。「神ってる」も本来は「神憑っている(かみがかっている)」でしょう。
短いほど文章が楽なのはわかるけど、話すときくらい正式に言えと言いたくなる。でも、実は若者だけでなく一般社会でも「とりせつ」みたいに省略語が多いのが日本語なんですねえ。あまり好ましいとは思えないのですが、元国語教師としては。 園長 田中 裕