Vチューバ―はァバターになる
園ブログを更新しないまま、もう2月も後半になりました。今週から急に気温も上がり、春の足音と花粉がやってきました。
ところで、今、世の中にVチューバーという人がいるそうです。ユーチューバ―のような実写での動画ではなく、アニメで2D、3Dのキャラクターを作り発信するものです。ユーチューブでは特定の人や投稿者自身が映像に登場しますが、Vチューバ―は自分でない架空のキャラクターを演じるため、最近増えてきているようです。
Vチューバ―は架空のキャラクターを創ることで自分をさらさないため、好きなことを表現できます。賛否はあるでしょう。私も最初は違和感がありましたが、匿名での掲示板への書き込みや無記名回答と違い、感情的な他者への攻撃ではない分、多様化している社会に即した表現だと思います。
実は日本では江戸時代に個人が異なる名前を使い分け、「複数の私」が江戸文化を深めたと言われています。江戸時代は何かを創造するとき人々は何人かで集まっていました。規模は大きくなく、小さな組織が増えて何かを作るために集まるけど組織の統合や存続はなく、作り終わったら解散。様々な年齢、階層、職業が混じり、1人がたくさんの「名前」を使い分けて「個人の中の複数の私」といういろいろな能力をそれぞれ別個の表現で使っていました。町人が作家になり、浮世絵を描き、自分とは別の存在になっていく。落語では一人が何役も演じる。江戸時代では普通のことであったこの「アバター」は近代になると一つの自分に統合しなければという価値観に変わっていきました。
これからの社会は多様性を互いが認める時代になります。もともと人間はいろいろな「顔」をもっています。他人との関係性の中で自己を認め、肯定感をもって自己発揮していくことで他者との違いに気づき、さらなる自己を生んでいくのではないでしょうか。 園長 田中 裕