目に見えないもの
7月に入った途端、プール日和となり子どもたちは大喜び!しかし、私の知り合いの園長たちは来週から始まる「全国私立保育園研究大会東京大会」の開催に大わらわ。運営委員長、副委員長として実働部隊を率いるのに四苦八苦。まあ、イベントの企画運営はどんなことでも大変です。
私も先月、東京都社会福祉協議会の保育研究大会に係として2日間動いていましたが、大会の基調講演の内田伸子先生の話が大変興味深い内容でした。内田先生から長い時間を使わしてほしい、という要望があったくらい講演内容は難しく盛りだくさんでした。園で行われている「先生と話そう会」という保護者と職員の交流でも今後、紹介したいのですが、まず
男女の差について改めて知ることができました。乳児期(生後10か月と1歳半)の調査によって、「人」に敏感なタイプは女の子に多く、ままごとや、生活絵本、物語が好きなようです。「モノ」の変化、動き、因果的な成り立ちに興味があるのは男の子が多く、砂遊びや工作が好きで、絵本では図鑑を好みます。こういう傾向は、一般的でよくあるじゃん、と思う方も多いでしょう。この傾向は実は右脳・左脳など脳の働きによるそうです。
そして、女の子の場合、左脳のほうが右脳より成熟が進んでいて、男の子は遅れた女の子の右脳と同レベルでさらに左脳と右脳の間に成熟の違いがなかったとデータにあるようです。つまり、男の子は発達がゆっくりということなのです。これは受胎18週めに将来男性になる準備工事が始まり、成長ホルモンはストップし、エネルギーがそちらに使われるからなのです。
ここから発達というものは、見える力が早く進めばいいのではなく、他から比べて遅くとも、心や体、頭の中では大事な機能が働いており、大事な成長が遂げられているということを認識することが大切です。このあとに話は想像力は生きる力、子ども中心の保育の話になりました。もう一度じっくり聞きたい講演でした。
講演の最後で内田先生は「星の王子さま」を引用して「一番大切なものは目に見えないんだよ」と繰り返しました。目に見えないものを見抜く力を保育者も親も養っていきたいものです。
園長 田中 裕